どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

悟飯は何故訛りがないのか

 悟空の口調と言えば、「オラワクワクすっぞ!」のように若干訛っているのが特徴です。最近ちょっと悪く強調されすぎですが、都会娘のブルマに対して田舎の少年という意味でそういうキャラになっていたのだと思います。

 悟空の妻であるチチも、悟空以上の訛りの持ち主です。「〜だ」「〜けろ」と語尾につける傾向があり、これは父親の牛魔王についても同じです。

 で、その2人の息子である悟飯は、全くその訛りがありませんでした。家族に標準語を話せる人がいないのに、何故悟飯は標準語で話せているのでしょうか。

 ここに疑問を持ったのは、両親が共に外国人で日本語を話せない子の場合、日本語を覚えるには学校など外部の環境で覚えるしかないからです。片方の親が日本語を話せれば、まだ日本語を話せますが、両親外国人ではそれは困難です。普段から言葉を聞いているからその言葉が話せるようになるのであって、悟飯は家族から標準語を聞かされないので、標準語を学べる環境がないはずなのです。パオズ山の住環境的に近所付き合いもなさそうです。

 

一つ考えられるのは、家庭教師的な教育者がいた可能性です。悟飯は小さい頃から「偉い学者になる」という夢を持っていましたが、当然それはチチの教育方針の賜物のはずです。元々牛魔王は一大領主みたいな存在でしたから、チチ本人もお金をかけた教育者のもとで育った可能性があり、悟飯も同じように優秀な教育者に勉強の指導を受けていた可能性が考えられます。しかし、原作にもアニメにも、そのような描写はありません(アニメでは、一度悪徳家庭教師を付けられる話があったと思います)。

パンのように幼稚園的なものに通っていた可能性もありますが、悟飯はオレンジスターハイスクールが初の集団教育環境だったように描かれているので、その可能性は薄そうです。通園も大変そうですし(悟空が筋斗雲で送り迎えしている姿はあまり想像できません)。

 

教育だけならチチだけでもできますが、口調の矯正はチチ本人には難しいと思うので(そうであるならチチ自身が標準語を話しているべき)、やはり別に教育者がいたと考えて良いのではないかと思います。

しかし、悟飯の勉強量からして、幼少時からそれだけ教育を受けていた人がいるならば、それなりに家族と親しくなってもいいような気がします。何故、物語に出てこないのでしょうか。

一つは、取っ替え引っ替えしている可能性。チチの求めるレベルが高すぎて、しょっちゅうクビになっていたりしていそうです。悟飯は人当たりが良いので本人と合わないからというのはあまりなさそうですが(悟飯がそう感じる前にチチがクビにしそう)。

もう一つは、単純に描かれていないだけで普通に専属の家庭教師がいるという可能性。こちらの方が、サイドストーリーを広げられそうです。父親である悟空、戦いの師であるピッコロに加え、もう一人いた勉強の師、というのは悟飯の内面の考察に深みが出そうな気がします。本編がバトルしてなんぼなので、スポットライトが当らなかっただけで、そういう人がいないとは断言できないのです。

 

もし悟飯に専属の教師がついていたとしたら、どんな人物だったのでしょうか?悟飯の性格から類推するに、おそらく非常に礼儀正しい人物だったのだと思います。あの悟飯の礼儀正しさは悟空とチチ由来ではないと思うのです(笑)。もしかしたら、勉強と別に礼儀作法の先生もいたのかもしれませんが、住環境的にもそんなに多くの人が出入りしている環境に見えないので、せいぜい一人だったんじゃないかなーとは思います。

もしそのような先生がいたら、悟飯はそれなりに慕っていたのではないかと思います。悟空やピッコロへの全幅の信頼を見る限り、年上の人への不信感のようなものは一切見られませんからね。ピッコロにそんなに物おじしなかったあたり、それなりに厳しく怖さもある人だったのかもしれません。礼儀正しいピッコロさんのような人でしょうかねぇ。まぁ男性とは限らないので、実はベビーシッターも兼ねた育ての母親みたいな人が別にいる可能性も想像できます。いずれにせよ、両親が訛っていても影響が出ないくらいには一緒にいる時間が長かった人物である可能性が高いのかなと思います。

 

悟空一家の家庭環境はあまり描写が多くなく(アニメではそこそこ描かれていましたが)、悟空自身があまり語ることがなかったため、勉強に全く興味がない悟空にとってはいないも同然(悟飯が勉強している時、悟空は修行か狩りをしていたのでしょう)だったが故に、その存在が語られることがなかった…というところでしょうか。

悟飯はオレンジスターハイスクール入学の時点で学力はかなり高かったようですし、実際に学者になったあたり成績は本当に良かったはずです。本人の才能とチチの教育だけでそのレベルに達することは難しいと思われるため、それなりの信頼できる指導者がいたと考えたいところです。

もしも、フリーザ編の次が「神と神」の話だったら

映画「復活のF」以降のエピソードは、フリーザ編の後のエピソードのリメイク的な側面を持っています。

復活のFがメカフリーザ再来、ゴクウブラック編が未来トランクスに関するエピソード、スーパーヒーローは人造人間編の焼き直しエピソードのようになっており、映画「ブロリー」はバーダックのエピソードと映画「復活のフュージョン」のリメイクを兼ねています。

 

一方、原作のフリーザ編以降は蛇足と考える古参ファンもいます。商業的な成果はともかく、個人的にも人造人間編以降は行き当たりばったりのシナリオ展開が多く、原作者がしんどそうなのがよく伝わってきました。

そのためいっそのこと、人造人間編以降を無かったことにして、フリーザを倒した後の話が「神と神」以降のエピソードだったとしても、それなりに無理なく話を続けられるのではないかと考えました。

 

(1)神と神

フリーザ編後なので、悟空が生きていることは分かったがそのうち自力で帰ると言っている状態。

ビルスが目覚める理由は超サイヤ人ゴッドではなく、伝説の「超サイヤ人」が目覚めたことを知ったから。フリーザをあえて泳がせて眠りについていた破壊神という設定も、フリーザの次の敵としての説得力に満ち溢れています。

ビルスは突如ヤードラットに現れ、まだ意図的に超サイヤ人になれない悟空を一方的にボコり、超サイヤ人が悟空じゃないならもう一人のベジータかなと思い地球へ移動。

一番の違いはこの時点でベジータとブルマが結婚していないこと。そのためコミカルなベジータは想像しにくいですが、ブルマを傷つけられてキレることが馴れ初めみたいになったと考えればある程度同じ流れでも大丈夫かもしれません。ベジータ以外のボコられ役(悟飯、ブウ、ゴテンクスなど)はクリリンヤムチャ天津飯らに格下げ。

悟空は瞬間移動を会得して地球に戻ってきて、ビルスと戦闘。その最中に超サイヤ人の力をコントロールできるようになるも、ビルスには敗北という流れですね。

登場人物と変身する形態が違うだけで、だいたい同じ話で行けると思います。

 

(2)復活のF

メカフリーザ編の代わりなのでフリーザドラゴンボールで生き返るのではなく、本当に生きていたパターン。サイボーグ化した身体を治すためにドラゴンボールを使ってもいいのですが、この時代はまだドラゴンボールを気軽に使える世界観ではなかったように思います。神様健在だし。最新のバイオ技術で再生したとかですかねぇ。

いずれにせよ、悟空とベジータウイスの元で修行中というのは一緒。その間にフリーザ軍団が攻めてきて、他の戦士たちで戦うのも一緒。悟飯が超サイヤ人になっていないので、悟飯とピッコロの役割は逆になりますかね。

その後の悟空とベジータフリーザと戦う展開は、超サイヤ人ブルーではなく通常の超サイヤ人に変身する以外は同じ展開。ベジータ超サイヤ人はここが初披露。

 

(3)未来トランクス編

未来世界を破滅に追い込んでいるのは人造人間ではなくゴクウブラック。未来の悟空は心臓病で死んだのではなく、ザマスに身体を乗っ取られ世界の敵となってしまったという想定。ロゼはブルー相当ではなく超サイヤ人の亜種で。

トランクスはフリーザを瞬殺する衝撃デビューではなく、突然現れて悟空を一方的に敵視する謎の超サイヤ人という登場の仕方。

ここで界王神が初登場、ゴワスとザマスは第10宇宙の存在ではなく、シンとキビトの代わりの存在でいいんじゃないでしょうか(シンは存在感ゼロに近いので…)。

ベジットもここで初登場ですが、「超」ではみんながポタラを知っている設定だったところ、ここが初登場なので悟空とベジータの融合はハードルが高いかもしれません。トランクスが戦っている最中で他にいないため止むなく、というところですかね。

話の展開は以前妄想したIF展開の通り、破壊神になったトランクスと界王神を継いだマイが世界を守るようになる感じでしょうか。ザマスとマイは同門だったとかするとドラマ性が高まりますね。

 

(4)ブロリー

力の大会は原作に相当するエピソードがないのでここでは触れません。あったことにしてもいいしなかったことにしてもいいかなと思います。

ただ力の大会を省略するとフリーザの復活が描かれないので、ここでドラゴンボールによる復活を描いてもいいかもしれません。いっそフリーザじゃなくてクウラか、まだ出ていないコルド大王を出してもいいのかも。

ブロリー」自体の話の展開は同じ。悟空とベジータがゴッドやブルーになれないだけです。ブロリーは単に超サイヤ人にならなくても超サイヤ人より強い、変身したら更に強いという位置付け。対抗するためにゴジータ初登場ですが、ゴテンクスが存在しない、悟空が死んでないからメタモル星人からフュージョンを学べないことから、ベジット再登場でもいいかもしれません。どうせ 1時間で分離できるし、フリーザも 1時間も時間稼ぎせずに済みます(笑)。

 

(5)スーパーヒーロー

これは流石に悟飯が成長していないと話にならないんですが、時間を進めて「悟飯が結婚して子供が産まれた時代」までワープさせると急に約20年後とかになってしまいます。

パンは幼少時の悟天あたりにして、勉強ばかりしていた少年悟飯が覚醒する話にした方がいいかもしれません。人造人間はここで初登場になるので、13号以降の人造人間の存在は省略(ハッチャンを作ったのがゲロ)してセルマックスがセルでいいんじゃないですかね。18号がいないのでクリリンはまだ未婚、ゴテンクスもまだ登場しないので、ここもヤムチャ天津飯の出番ですかね。

ビーストの代わりが超サイヤ人2でいいでしょう。ピッコロはまだ神様と融合していないので、ここで融合してパワーアップ→更にオレンジピッコロに変身という感じでいいんじゃないでしょうか。なので、デンデが神様になるエピソードもここで描きたいですね。間にメタルクウラの話を入れられそうです(笑)。

 

こんな感じでいかがでしょうか。

ブロリー」の話は「スーパーヒーロー」よりも後でもいいかもしれませんね。そうすれば悟空とベジータ超サイヤ人2にできます。

「力の大会」はなかったことにすると身勝手の極意が出せませんが、まだ鳥山原作の作品には登場していないので出さなくていいのかなと。フリーザが味方になるのもちょっと早過ぎますしね。

ピッコロ大魔王と龍族

ナメック星人の最長老は口から卵を産んで子孫を残しますが、ピッコロ大魔王は同様の方法で魔族を産んでいました。

ピッコロ大魔王は同じく卵でマジュニアを産んでいるので、最長老のように子孫を残すこともできるようです。

では、悪に染まった存在とは言え、何故魔族という別の存在を産み出すことができていたのでしょうか。

 

ピッコロ大魔王が生む魔族と称される存在は、他の魔族(ガーリックJrやダーブラなど)とは異なり、龍のモチーフが色濃く出ています。

最長老は子孫だけでなく、ドラゴンボールを作る能力も持っていますが、つまりピッコロ大魔王が産み出す魔族は、ある意味神龍を産み出す応用なのかな、と思い当たりました。

地球の神は、神龍の石像に命を吹き込むような生み出し方をしていますが、ナメック星のポルンガに関してはそのような模型がないため、元々ナメック星人には龍的なモチーフがあるのだと思います。そもそも戦闘タイプではないナメック星人の事を、「龍族」と呼んでいますからね。

神とピッコロ大魔王の元々の存在である「カタッツの子」は、龍族の天才児であったとされています。そのため、ピッコロ大魔王もドラゴンボールを作る能力と子孫を生み出す能力を応用し、龍的な存在を卵で生むことができたのだと考えることができます。

つまりピッコロ大魔王が生み出す魔族は、厳密には(魔界の住人としての)魔族ではないと言え、正確に言えば「龍魔族」とでも呼ぶべき存在なのかもしれません。

 

さて、神龍に近しいが禍々しい存在と言えば、ドラゴンボールGTに登場した「邪悪龍」があります。これはドラゴンボールに蓄積されたマイナスエネルギーにより誕生した存在であるとされていますが、ピッコロ大魔王もある意味「カタッツの子」のマイナスの側面が具現化した存在であると言え、マイナスエネルギーを使用して生み出した龍が「龍魔族」であったと解釈できなくもありません。

神とピッコロ大魔王の分離は、ある意味ではプラスエネルギーとマイナスエネルギーの分離とも言え、理には叶っています。魔人ブウの善悪の分離も、プラスとマイナスの分離だったりするのかもしれません。

だとすると、邪悪龍にはもう少しピッコロ大魔王っぽさがあっても良かったのかもしれませんね。GTではこの時点でピッコロが退場していたのも残念です。

なお、劇場版オリジナルのスラッグは、戦闘タイプの突然変異体ということで、龍族の突然変異体であったであろうカタッツの子とは対照的な存在です。彼が連れていた魔族は、自分で産んだわけではなく、スラッグ星の生物らしいのですが、スラッグ星は魔界なんですかね…。

 

ところで、神様もピッコロ大魔王も龍族としての特徴を持っているにも関わらず、ピッコロと神様が融合した後は完全に戦闘タイプとなっていました。これは何故なのでしょうか。

それは、ピッコロ大魔王がマジュニアを産んだ際に、戦闘タイプとして産んだからなのだと思います。マジュニアを生み出した目的は悟空を倒すためであり、世界征服の野望を受け継がせるためです。そのために必要なのは戦闘力であり、魔族を生み出すことではなかったということなのでしょう。そのマジュニアがベースとなって融合したために、神コロ様も戦闘タイプになったというわけです。

つまり、ピッコロは龍族の天才児が分離して片方が戦闘タイプに転生した上で再融合したという、極めて稀なケースで誕生したナメック星人ということになります。オレンジピッコロの力もその辺が背景にあるのかもしれませんし、神龍が引き出した力ということにも、単なる「願いを叶える」力だけによるものではないのかもしれません。

 

まあ、でも今のピッコロが本当に純粋な戦闘タイプで、絶対に卵を産めないかというとその辺は原作者の裁量でどうにでもなりそうですけどね。パンの遊び相手として普通にマスコットキャラとか産んだりして。

フリーザとベジータの今後の関係

「超」でフリーザが完全に復活し、「ブロリー」の描写からフリーザ軍が再結成され、悟空たちとは距離をとりながら活動を続けているような世界になったドラゴンボールワールド。

悟空にとっては、フリーザは切磋琢磨するライバルの1人(ただし気は許せない)だと思いますが、ベジータにとってはどういう思いなのか、逆にフリーザベジータをどう思っているのか、少し掘り下げてみようと思います。

 

現在のベジータは、家庭をもち、悟空との距離感が定まり、安定した生活を送っていますので、今更フリーザをどうしても倒さなければならない宿敵とまでは思っていないと思います。

しかし、「復活のF」での戦いで分かるように、フリーザベジータにとって幼少時からサイヤ人屈辱を与え続け、最終的に惑星ベジータをも奪った、言わば「民族の宿敵」です。決して許すことはないと思いますし、敵対した際は容赦なく叩き潰そうとするでしょう。

 

一方のフリーザは、ベジータがそこまで恨んでいるとは露知らず、将来有望な部下と期待しており、「復活のF」でも悟空への敵対的な行動を見て自分へ味方するつもりだと誤解するくらいにはベジータに片腕になることを期待していました。小さい頃からベジータのことを知っているフリーザは、子供のうちから刷り込んで優秀な部下として育成するつもりだったのでしょうが、当のベジータは子供の頃からフリーザを出し抜くことしか考えていなかったようです。そのすれ違いが当初のベジータフリーザの関係ですね。

現在では、フリーザベジータのことを悟空と同じ倒すべき敵と認識しているようです。その証拠に、フリーザは地球に再侵攻する際、ブロリーという新たな味方を得ようとしました。それは、悟空1人ならフリーザも対抗できる実力を持っているものの、同等の実力をもつベジータまでいるので、もう一人自身に匹敵する戦力を欲していたからです。フリーザとしては、悟空とベジータの2人がいる以上、迂闊に地球に攻め込めないと感じていることがわかります。その後、ゴジータの力を見て、更に相棒の必要性を認識していたように思います。

つまりフリーザにとって、ベジータは悟空と同等の宿敵と認識しており、簡単には勝てない手強い相手と認めていると言えます。

 

一方のベジータは、基本的には悟空と切磋琢磨してより強くなることだけを考えているように見えます。悟空は他に強い相手を見つけると喜んで腕試しに行きますが、ベジータは割と未知の強敵を舐める傾向にあり、俺(とカカロット)に匹敵する強さの敵などそうそういない、と考えがちです。誰よりも悟空の強さを認めているからこそ、その悟空を超えようと努力すればそれ以外の全ての相手を超えられると認識しているように見えます。

もちろんビルスウイスといった更に上の次元の存在は認識しているものの、まだベジータは同じサイヤ人である悟空のアプローチを見ながら、それを参考にしたりあえて違う道を進もうとしたりすることで強さを高めていこうとしています。ある意味では、ベジータにとっては悟空が人生最初の師匠のような存在なのかもしれません。

その点で、ベジータにとってのフリーザは現時点では微妙な立ち位置です。おそらく強い弱い以前に、フリーザは「嫌い」な存在なのだと思います。そのため、悟空ほどライバルとみなす余裕はないと言え、敵対的な行動を取れば全力で叩き潰しに行くと思いますが、そうでないなら、なるべく関わりたくない存在なのかなと思いますね。特に、自分が実力で上回っているならともかく、拮抗している状態だと尚更でしょう。

 

ある意味では、フリーザがレギュラーキャラとして生存している以上、今後はこのベジータフリーザに対する因縁の処理が一つのドラマ要素になってくるのではないかと思います。ベジータはまだフリーザへの恨みを晴らしきっていません。サイヤ人の王子としてのプレッシャーから解き放たれ、悟空との関係が改善した今、ベジータの人生において最後に残されているのが、このフリーザとの因縁なのかもしれません。

 

 

 

バビディの目的は何だったのか

大魔導師バビディは、魔人ブウ復活のために暗躍していましたが、ブウを復活させた後、何を目指していたのかはっきり描かれていません。

ブウ復活後は、自分たちに逆らった者への制裁しか考えておらず、その先にどんなビジョンがあったのか定かではありません。

この点について、もう少し掘り下げてみたいと思います。

 

後付け設定で、魔人ブウバビディの父ビビディが生み出したのではなく、元々存在している魔人を呼び起こすことができただけであったことになっています。その上、意図的に封印することも可能でした。

おそらくは、本来誰もコントロールできなかった魔人ブウを、自らの魔力によってある程度コントロールできるようになったことで、その力を利用して自らの思うがままに世界を従えようとしたのが、当初のビビディの野望だったのではないかと思います。

 

バビディはビビディの息子と言われていましたが、後付け設定ではビビディの分身のようなものと位置づけられており、ある意味ではピッコロ大魔王とマジュニアのような関係なのかなと思います。

そのバビディ魔人ブウを復活させようとした目的も、おそらくはビビディと同じで、ブウの力で世界を跪かせようとしていたのかなと思います。界王神をコケにしていたあたり、神による支配からの脱却も目指していたのかもしれません。

作中のバビディを見る限りかなり幼稚な性格であり、なんでも自分の思うがままにコントロールできなければ気が済まない節が見られます。幼児の万能感の塊のような性格ですが、実際にある程度は自分の魔力によりなんでもコントロールできる(魔界の王さえも)わけですから、魔力が高すぎて何でもできるが故にこのような性格になってしまったのかもしれません。

だとすると、バビディが目指しているものは特になく、単純に自らの欲望を満たしたいだけであったと考えることもできます。自らの高すぎる能力に溺れ、性格がゆがんでしまったタイプでしょうか。

 

しかし、ビビディやバビディのブウに対する能力は本物で、それまで一定周期で活動と休眠を繰り返していた魔人ブウを封印することに成功しているわけですから、ある意味では界王神より凄い力を持っていることになります。その力を正しく使えば、宇宙の平和を誰よりも守ることができたような気がします。

もしかしたら、バビディ(ビビディ)も能力的には界王神になれるだけの才能を持っていたのかもしれません。しかしその性格が災いして認められず、それに憤慨して世界への反抗を決意した、なんて可能性も考えられます。どこかでそんな設定を聞いたことがあるような…ガーリックJr.のことかー!

 

そういえばガーリックJr.は魔族ですが、バビディにも元々魔界生まれという後付け設定があります。ただ魔界自体の設定が曖昧なのでそこを掘り下げるのは危険ですね。なんかヒーローズの領域になっちゃってますし。

ただバビディは魔界を掌握できた(王を支配下に置いたので)わけですから、宇宙も支配しようと企んだのかもしれませんね。ビルスの存在を知っていれば、ブウでも支配は難しいと思いますが、界王神を殺せば破壊神も死ぬわけで、それを知っているから界王神を殺しにかかっていたのかもしれません(トランクスの未来では実際にそれに成功している)。そう考えると、ビルスが寝てばかりだったのはバビディ・ビビディに魔法をかけられていたからだという可能性も…?

実際、ブウが2度暴れた際、どちらもビルスは不在で、界王神が対応して危うく殺されかけています。いくら怠け者のビルスとはいえ、界王神が殺される危険がある相手を軽々しく放置するとは思えません(自分が死ぬので)。ビルス超サイヤ人ゴッドの予知夢を見て目を覚ましますが、そもそもバビディが死んだことで目が覚めた可能性もあります。

ビルスがいればブウは脅威じゃなかったのでは、というツッコミをかわすためにも、バビディやビビディに眠らされていたと考えるのはあながち考えすぎではないのかもしれません。

かつてビルスは魔人ブウに自分の職務を代行させていたのではないかと考察したことがありますが、ビビディはそのブウをコントロールできれば破壊神と同等の権力を得ることができるのではないか、と考えたのかもしれません。つまりバビディやビビディは、破壊神と界王神による秩序ではなく、自らと魔人ブウによる支配を目指していた、という可能性が十分考えられるのではないかと思うのです。

 

 

フリーザが売った星は誰が買っているのか

 フリーザは「宇宙の地上げ屋」と言われており、人が住んでいる星を制圧して他の宇宙人に売ることを家業としています。これは、当時バブル時代で地上げ屋が問題になっており、鳥山明氏が当時悪者と言えば地上げ屋だったからと述懐していますが、そもそもフリーザから星を買うような連中はどのような層だったのでしょうか。このあたりまだ掘り下げられていないので、考察してみたいと思います。

 

 地上げ屋とは元々、大規模開発のために必要な個人所有の土地を買い上げ、開発事業者に売るのがメインの仕事です。それが問題視されたのは、その買い上げの方法が無理矢理であったり、そもそも大きな開発計画がなく単に転売のためだったりしたからです。フリーザはそういう悪い地上げ屋のイメージで設定されていることから、とにかく無理矢理星の住人を皆殺しにしたりしていたのでしょう。

 しかし、誰がその星を買うのでしょうか?商売をしているからには、買い手がいるはずです。ドラゴンボールの世界は多くの宇宙人が存在するものの、星同士で交易や移住が頻繁に行われているほど銀河レベルで開発が進んでいる印象もありません。中には星単位で別荘みたいに使ったりコレクション感覚で購入しているお金持ちもいるのかもしれませんが、今のところそういう存在は見当たりません。

 どちらかと言うと、環境的な問題でより良い星に移住したいというニーズがあるのかもしれません。ナメック星人は異常気象で滅亡の危機に瀕したことがありますし、そもそも地球のように生物が育つのに理想的な環境がそうそうあるわけではありません。映画「ブロリー」でブロリーが育った惑星パンパも過酷な環境でした。惑星ベジータは表向きは巨大隕石の衝突で破壊されたことになっていましたが、そういう嘘がまかり通るくらいにはそういう事故もあったのだと思います。そもそも、サイヤ人自体が、惑星プラントに移住してきた民族ですしね。

 つまり、現在住んでいる惑星の環境に問題があって、移住を余儀なくされる宇宙人はそれなりにいるのではないかということです。そういう人たちのために、高い宇宙航行技術をもつ民族が、良い環境を見つけてあげて移住を斡旋することもあったのでしょう。ちょうど、ナメック星人が新ナメック星に移住したような感じですね。

 そんな惑星の斡旋を、だれも住んでいない星ではなく、すでに住人がいる星に対して行っていたのがフリーザ一族なのかもしれません。新ナメック星も、界王様だから遠い銀河から見つけることができましたが、そういう感知能力がない者が適切な星を見つけるのはかなり大変だと思います。知ってる星を無理矢理斡旋した方が楽なのは間違いありません。おそらくフリーザの所業というのはそういうものだったのだと思います。

 何なら、移住せざるを得ない状況を、フリーザたち自身が作り出している可能性もあります。星に壊滅的なダメージを与え、住めない状況にした上で、すでに滅ぼした別の星を売りつける。惑星ベジータを巨大隕石の衝突に見立てて破壊しているのですから、それくらいのことはやっていたのではないでしょうか。おそらく、高く買ってくれそうな、高度な文明をもつ民族を移住せざるを得ない状況に追い込み、まだ未開の環境が綺麗な星を売りつけていたのでしょう。

 

 フリーザがやっていたことがそのようなことであったと考えると、必ずしもフリーザでなければできないことではなかったように思います。星を消すくらいなら初期のベジータギャリック砲でもできた可能性があるので(ハッタリだった可能性もありますが)、フリーザ軍の幹部クラスなら星を破壊できなくても済むのが困難なレベルにダメージを与えることは可能だったでしょう。そういう意味では、フリーザ・コルドの死後もフリーザ軍が存続していたのは、地上げ屋行為を細々と続けていたからなのではないでしょうか。

 ビルスフリーザに破壊神の代行をさせていた節がありますが、それはおそらくビルスが本来破壊すべき星も、フリーザが商売に使っていたからなのではないかと思います。悪い地上げ屋行為だけではなく、本来の正当な地上げ屋行為も行っていたのかもしれません。

 

 フリーザ軍は物凄く裕福というイメージもなく、地上げ屋行為で大儲けして遊んで暮らしている、という感じには見えません。金銭というよりも、その星の技術・文明を得ることの方がメインなのではないかと思います。また、フリーザには優秀な戦士をスカウトする姿勢が見えることから、地上げ屋を行いながら、関わった星の優秀な戦士を自軍に組み込んだりもしていたのでしょう。サイヤ人なんかはまさに戦力として使うために生かされていた感じですね。

 ある意味では、フリーザ軍はレッドリボン軍の超上位互換という感じなのかもしれません。レッドリボン軍は売りつけるためではなく、自分たちが制圧するために各地で暴れていたイメージですが、もし地球の制圧に成功して宇宙に進出していたら、おそらく他の星を制圧し始めていたのではないでしょうか。人造人間の戦闘力を考えると、遠い未来であれば、十分フリーザ的な事業は行えたでしょうね。

 

 

「孫悟飯ビースト」の力は何故最長老や老界王神では引き出せなかったか

 映画「スーパーヒーロー」のネタバレ情報が解禁され、悟飯の新形態の名前は「孫悟飯ビースト」であるとされました。サイヤ人が持つ獣の力となれば、大猿以外になく、やはり大猿の力を引き出しているブロリーに近い特性の形態であると言えそうです。

 

 しかし、映画を見た時にも疑問に思いましたが、悟飯は老界王神に全ての潜在能力を「限界以上に」引き出しています。つまり本来修行で得られる力を全て獲得していると言え、それなのに何故追加の修行もしていないのに新しい力が目覚めたのか、説明が難しいように思えます。

 ヒントは、すでに悟飯は幼い頃にナメック星の最長老に潜在能力を引き出されているということです。にもかかわらず、悟飯はその後もさらに死にかけて復帰したり激怒することによってより大きな戦闘力を引き出しています。そのため少なくとも、最長老の力で引き出せるのはその時点で獲得可能な力であって、死にかけからの復活によるパワーアップによって得られる力までは潜在能力に含まれていないと考えることができます。怒りによるパワーアップは、どちらかと言うと戦闘力のコントロールができないために、怒った時じゃないと全力を出せないと考えた方が良いのかなと思います。

 

 だとすると、老界王神によるパワーアップも、「限界以上」という点が最長老と異なるものの、その時点で修行すれば得られる力を得るという意味であまり違いがないと考えられます。いわば「精神と時の部屋による修行」のような効果を修行せずにより効率よく得られるものと考えられるでしょうか。

 ただ、老界王神によりパワーアップした悟飯が、その後怒りによってさらに戦闘力を爆発させることはありませんでした。もしブウ戦でも激怒する機会があれば、悟飯がビースト化することは可能だった可能性もあります。

 

 「スーパーヒーロー」劇中でアルティメット化は超サイヤ人よりも上位の変身として描かれています。戦闘力が落ちた悟飯では、超サイヤ人になることで戦闘力を(50倍程度に)引き上げて戦うことしかできませんでしたが、怒りで勘を取り戻すような感じでアルティメット化しています。これは悟飯の持っている超サイヤ人以上の力をより純度の高い気で解放している形態と考えられ、この力の獲得が老界王神の能力により得られたものと言えます。

 それに対し、おそらくビースト化はより新ブロリー超サイヤ人4に近い、大猿のポテンシャルも引き出している形態と考えられます。老界王神が引き出したのはあくまでも人間としての形態の力であり、そこに大猿の力は含まれていなかったのではないかと思います。それは最長老による潜在能力解放でも同様でしょう。

 ブロリーは幼少時より過酷な環境に身を置いていたこともあり、早い段階で超サイヤ人にならずともそれ以上の戦闘力を発揮できる、大猿の力を引き出した変身を可能としていました。この形態は「怒り」の状態と言われており、悟飯が怒りを爆発させている状態によく似ていると言えます。ただブロリーが大猿の力→超サイヤ人の順に覚醒したのに対し、悟飯は超サイヤ人になってからビーストの力に覚醒しているため、順番が異なります。ブロリー超サイヤ人フルパワーが「超サイヤ人+大猿の力」なのであれば、孫悟飯ビーストは「アルティメット+大猿の力」であるというのが分かりやすい違いでしょうか。

 

 まとめるとこんな感じです。

・ナメック星で最長老が引き出したのはその時点で悟飯が修行して得られる最大の力

・死にかけからの復活によるサイヤ人のパワーアップは、潜在能力(レベル)自体を増加させるパワーアップなので最長老では引き出せない

・幼少時の悟飯の怒りによるパワーアップは、自力でコントロールできない戦闘力を勢いで引き出しているだけ(元々そのくらい強い)。

・老界王神によるアルティメット化は、その時点で悟飯が修行して得られる力以上の戦闘力を引き出したもの

・アルティメット化によるパワーアップは、超サイヤ人化によるパワーアップよりも強力(気の純度が高い?)

・アルティメット化すれば、怒りに頼らなくてもその時点で出せる力を全て解放できる

・ビースト化は悟飯がブロリーのように大猿の力を引き出したもの

・ビースト化はアルティメット化に大猿の力が加わっているため、ブロリーの変身とは種類が異なる

 

 こんな感じですね。大猿の力は老界王神では引き出せなかったのかと疑問に思うところですが、大猿の力をコントロールするのはテクニックであって潜在能力ではないのかなと思います。ブロリーも怒りを鍵にして大猿の力を大猿に変身せずに引き出していると考えると、悟飯も同様だったのかなと思います。

 では悟空やベジータでも大猿の力は引き出せるのではないか?と思うのですが、現時点ではそれは特殊な才能が必要なのではないか…と思います。ブロリーも悟飯も幼少時から高い戦闘力を持っていた変異種みたいな存在ですので。超サイヤ人4は、大猿から理性を取り戻してなるものですから、怒りのままに変身するブロリーや悟飯とは別種の変身ですね。超サイヤ人4は尻尾が必要ですが、ブロリーや悟飯は尻尾なしで変身しているので、変身条件も違います。

 

 ちなみに新ブロリーは鳥山設定で幼少時の戦闘力が920でしたが、悟飯はラディッツ戦時で1307でしたので、才能面でもやや悟飯の方が上です。混血だからなのかもしれませんが、その点で言うとブロリーも混血である可能性も否定できませんパラガスの嫁が誰かという設定はありませんし、実はサイヤ人じゃないのかもしれませんね。そう考えると、大猿の力を人型のまま引き出すという特性自体が、混血特有の能力である可能性も考えられるようになります。

 まぁ、ブロリーはどちらかと言うと純粋サイヤ人の中での最強というイメージがあるので、あまりそうあって欲しくはない気もしますけどね。ただろくな修行なしで悟空やベジータより強いというのも納得しかねるものがあるので、腑に落ちないという意味ではどっちもどっちかもしれませんが。いずれにせよ赤ん坊の時点で戦闘力10000ある旧ブロリーとは別人です。

 

 ブロリービルスの元で修行していましたし、悟飯も含めてまだゴッド化の可能性が残っています。まだまだパワーアップのインフレの余地はありますね。