どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

フリーザが売った星は誰が買っているのか

 フリーザは「宇宙の地上げ屋」と言われており、人が住んでいる星を制圧して他の宇宙人に売ることを家業としています。これは、当時バブル時代で地上げ屋が問題になっており、鳥山明氏が当時悪者と言えば地上げ屋だったからと述懐していますが、そもそもフリーザから星を買うような連中はどのような層だったのでしょうか。このあたりまだ掘り下げられていないので、考察してみたいと思います。

 

 地上げ屋とは元々、大規模開発のために必要な個人所有の土地を買い上げ、開発事業者に売るのがメインの仕事です。それが問題視されたのは、その買い上げの方法が無理矢理であったり、そもそも大きな開発計画がなく単に転売のためだったりしたからです。フリーザはそういう悪い地上げ屋のイメージで設定されていることから、とにかく無理矢理星の住人を皆殺しにしたりしていたのでしょう。

 しかし、誰がその星を買うのでしょうか?商売をしているからには、買い手がいるはずです。ドラゴンボールの世界は多くの宇宙人が存在するものの、星同士で交易や移住が頻繁に行われているほど銀河レベルで開発が進んでいる印象もありません。中には星単位で別荘みたいに使ったりコレクション感覚で購入しているお金持ちもいるのかもしれませんが、今のところそういう存在は見当たりません。

 どちらかと言うと、環境的な問題でより良い星に移住したいというニーズがあるのかもしれません。ナメック星人は異常気象で滅亡の危機に瀕したことがありますし、そもそも地球のように生物が育つのに理想的な環境がそうそうあるわけではありません。映画「ブロリー」でブロリーが育った惑星パンパも過酷な環境でした。惑星ベジータは表向きは巨大隕石の衝突で破壊されたことになっていましたが、そういう嘘がまかり通るくらいにはそういう事故もあったのだと思います。そもそも、サイヤ人自体が、惑星プラントに移住してきた民族ですしね。

 つまり、現在住んでいる惑星の環境に問題があって、移住を余儀なくされる宇宙人はそれなりにいるのではないかということです。そういう人たちのために、高い宇宙航行技術をもつ民族が、良い環境を見つけてあげて移住を斡旋することもあったのでしょう。ちょうど、ナメック星人が新ナメック星に移住したような感じですね。

 そんな惑星の斡旋を、だれも住んでいない星ではなく、すでに住人がいる星に対して行っていたのがフリーザ一族なのかもしれません。新ナメック星も、界王様だから遠い銀河から見つけることができましたが、そういう感知能力がない者が適切な星を見つけるのはかなり大変だと思います。知ってる星を無理矢理斡旋した方が楽なのは間違いありません。おそらくフリーザの所業というのはそういうものだったのだと思います。

 何なら、移住せざるを得ない状況を、フリーザたち自身が作り出している可能性もあります。星に壊滅的なダメージを与え、住めない状況にした上で、すでに滅ぼした別の星を売りつける。惑星ベジータを巨大隕石の衝突に見立てて破壊しているのですから、それくらいのことはやっていたのではないでしょうか。おそらく、高く買ってくれそうな、高度な文明をもつ民族を移住せざるを得ない状況に追い込み、まだ未開の環境が綺麗な星を売りつけていたのでしょう。

 

 フリーザがやっていたことがそのようなことであったと考えると、必ずしもフリーザでなければできないことではなかったように思います。星を消すくらいなら初期のベジータギャリック砲でもできた可能性があるので(ハッタリだった可能性もありますが)、フリーザ軍の幹部クラスなら星を破壊できなくても済むのが困難なレベルにダメージを与えることは可能だったでしょう。そういう意味では、フリーザ・コルドの死後もフリーザ軍が存続していたのは、地上げ屋行為を細々と続けていたからなのではないでしょうか。

 ビルスフリーザに破壊神の代行をさせていた節がありますが、それはおそらくビルスが本来破壊すべき星も、フリーザが商売に使っていたからなのではないかと思います。悪い地上げ屋行為だけではなく、本来の正当な地上げ屋行為も行っていたのかもしれません。

 

 フリーザ軍は物凄く裕福というイメージもなく、地上げ屋行為で大儲けして遊んで暮らしている、という感じには見えません。金銭というよりも、その星の技術・文明を得ることの方がメインなのではないかと思います。また、フリーザには優秀な戦士をスカウトする姿勢が見えることから、地上げ屋を行いながら、関わった星の優秀な戦士を自軍に組み込んだりもしていたのでしょう。サイヤ人なんかはまさに戦力として使うために生かされていた感じですね。

 ある意味では、フリーザ軍はレッドリボン軍の超上位互換という感じなのかもしれません。レッドリボン軍は売りつけるためではなく、自分たちが制圧するために各地で暴れていたイメージですが、もし地球の制圧に成功して宇宙に進出していたら、おそらく他の星を制圧し始めていたのではないでしょうか。人造人間の戦闘力を考えると、遠い未来であれば、十分フリーザ的な事業は行えたでしょうね。