どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」ネタバレ感想

 絶対終盤の展開伏せられているだろうなと思い、ネタバレが怖いので速攻で見てきました。今回の映画は、悟飯とピッコロがメインということで、これまでこのブログで悟飯やピッコロのパワーアップを求めていた自分としては、是非とも見ておきたい内容でした。

 「神と神」以降のドラゴンボールの映画って、基本的にメインキャラの新形態が事前に伏せられてるんですよね。超サイヤ人ゴッド、超サイヤ人ブルー、ゴジータが伏せられており、そりゃ今回もあるよねと確信していました。

 

 というわけで、ネタバレありの感想です。

 

 

 

 

 前半のシナリオは丁寧でした。序盤の無印時代の作画のクオリティが異常に高く、この作画でやれるなら旧作リメイクもありなのではと思いました。鳥山明氏が描いたの?と思うほどでしたが、セル編の作画はそうでもなかったので違うっぽいなと感じました。

 今回の物語の背景設定を、説明しながら流れを進めるのも入ってきやすくて良かったです。さりげなく人造人間21号が公式化されており、16号が息子モデルという設定まで反映。でも今回のドクター・ヘドはゲロの前妻の孫ということでした。年齢的にそうでないと辻褄を合わせにくいからかな。

 ヘドは正義の味方に憧れているので、新しい人造人間もスーパーヒーロー。あまり悪い奴を出したくないと言う鳥山明氏らしい展開です。悟空たちが悪の組織であると教えられる展開は、言い様によってはその通りだなと思ってしまいます(笑)確かにピッコロ大魔王と魔人ブウサイヤ人の集団とか悪党しかいないわ。それを従えてる一般人ブルマは確かに普通ではないです。

 

 そしてパンとピッコロ。原作のラストエピソードでパンを鍛えていたのは悟空でしたが、その悟空が修行中なので相手をしているのはピッコロ。この時点でもすでに十分強いのは流石です。パンの声優変わったのかと思ったら変わってませんでした。幼女の声自然ですげぇと思いました。

 そこに襲来するガンマ2号。攻撃の度に効果音が表示されるのは、その後立体映像だと明かされますが、後半は全く出てこなかったのが残念。だったら要らなくね?という気もしますが、鳥山明らしさを出したかったのかなぁ。

 ガンマ2号の強さはピッコロより上。しかしパワーレーダーを搭載していないのでピッコロを倒したと思い込み去っていきます。この展開はザーボンがかつてやったパターンですね。上司がフリーザだったら殺されていましたよ(笑)。

 ここから先はピッコロの独壇場。追跡してガンマ2号の正体を悟り、悟飯が研究に没頭中、悟空とベジータとの連絡が取れないことから、自分でどうにかするしかないと判断して自らの潜在能力解放を試みます。さらっと実行しようとしたあたり、時が来たらいつかやろうと思ってたんですかねぇ。事前にピッコロの新形態が潜在能力解放と言われていて、老界王神に引き出してもらうのかと思ったら最長老の方でした。双方の悟飯のパワーアップ倍率から考えて、ピッコロ強くなりすぎじゃね…?(同化しているネイルは状況的に引き出し済みだったのではないかと思う)と思ったのですが、考えても仕方ないので神としての能力が引き出された(=ナメック星人ゴッド)と解釈しておきます。

 パンをさらってこいと言われ、そうすれば悟飯を戦いに引き出せると思ったピッコロ。さすがに娘がさらわれたらキレるだろうということでしたが、想像以上にブチ切れて笑いました。スポポビッチビーデルさんがボコられて以来のキレ方です(というかそれ以来悟飯はキレてない…)。

 しかしガンマ1号は超サイヤ人悟飯では勝てません。ピッコロのアシストでさらにキレてアルティメット化を取り戻すも、それで互角という感じ(かつてのピッコロと17号くらいの実力差に見えました)だったので、ガンマ1号・2号の強さはアルティメット悟飯とほぼ同等と言えそうです。潜在能力解放のピッコロはそれでも勝てていなかったので、アルティメット悟飯以下なのは確定。人造人間として強すぎじゃね?という気もしますが、21号の後に作られているならブウ以上の戦闘力があって良いですし、それでも多分今の17号の方が強いので(笑)、妥当な強さだったと思います。

 ピッコロの更なるパワーアップ(オレンジピッコロってマジで正式名称にするの?)はガンマ2号を一蹴していたのでアルティメット悟飯を超えている可能性があります。やはりゴッドの領域に片足突っ込んでるんじゃないかと思いますね。

 最終的に誤解が解けて和解したかに見えましたが、序盤より名前が出ているセルマックスが出てこないわけがありません。ヘドの奮戦空しく起動してしまったセルマックス、第2形態ベースなのは鳥山明氏の趣味かなと思います(完全体ベースで理性がないのも微妙ですし)。そもそもなんで大型なのか良く分かりませんが、ガンマ1号・2号を遥かに上回る強さとの通り誰もかないません。弱点があるのでそれを突けばというところで、悟天トランクス18号クリリンが登場。成長した悟天とトランクスどこに出るんだろうと思ったらここで出てきました。フュージョンは予想通り失敗しましたが、成功バージョンは次回持ち越しでしょうか。

 弱点を破壊するためにガンマ2号が犠牲になるも撃破に至らず、ピッコロがセルの動きを止めるから悟飯に「かめはめ波でもなんでもいいから全力でぶちかませ」と言います。ピッコロが力尽きかけて悟飯が覚醒、放った技はまさかの魔貫光殺砲でした。このくだりは見事でしたねー。かめはめ波でも魔閃光でもなく、魔貫光殺砲というのが良かったです。あれ悟空を殺すために編み出した技だけどね…。

 

○キャラの戦闘力

 今回のキャラクターの戦闘力、上述の通り、ガンマ1号・2号はアルティメット悟飯とほぼ互角、ピッコロの潜在能力解放はそれ以下、オレンジはそれ以上。セルマックスは最後の「お父さんやベジータさんでも勝てなかったかもしれない」という強さから、ゴールデンフリーザくらいはありそうです。悟飯の新形態は比較対象がいないため不明。セルマックスには弱点を破壊できたから勝てただけで、戦闘力で上回っていたかは怪しいところです。

 一方、悟空たちのパートでジレンの戦闘力自体は悟空やベジータと大差ないと説明されたのは良かったです。戦闘力ではなく力の使い方の問題ということですね。動きの無駄の少なさが神の気<ジレン<身勝手の極意という感じなのでしょう。ブロリーは明らかにそれ以上ですがまだ制御できない様子。身勝手の極意になったことがある悟空より、ベジータの方が無駄を減らそうとしているのは、悟空が意識的に身勝手の極意を得たわけではないということなんでしょうかね。いずれにせよこっちのベジータは我儘の極意にはならないように感じます…。

 

○設定面

 レッドリボン軍が壊滅したわけではなく、製薬会社として活動を続けていてゲロにも資金援助していたという背景が説明されました。

 そしてドクターヘドはカプセルコーポレーション入りし、ガンマ1号も味方になったので、今後も出てくる可能性がありますね。何なら17号・18号のパワーアップの可能性すら出てきました。

 あと悟飯は学者になったというだけで何の学者か説明がなかったのですが、今回生物学者という設定が生まれました。何気に新しい。しかも研究に没頭する姿が修行に没頭する悟空に似ており、興味の方向性が違うだけで性格は悟空譲りだということが良く分かります。悟飯は修行時代の恐竜との交流(?)とか、ハイヤードラゴンとか、確かに動物とか好きな印象があるので割と納得です。そして何気に、16号の遺言を守ってる感じもあります。17号とは仲良くなれそう。

 悟飯と言えば、「復活のF」以降は平常時がアルティメット状態ではなくなったので、アルティメット化が変身の一種になったのは個人的に良かったと思っています。ブウ編以降、復活のFまでデフォがアルティメットの目つきだった(何なら原作最終話~GTまでも)のは何故だったのかの説明が欲しかったところですが、とりあえずなかったことになったから良いです。アニメ版超はキャラの作画設定が神と神→復活のFとなってから未来トランクス編以降また神と神基準に戻ってしまったので、これもなかったことにしたいところです。

 

○スーパーヒーローとは?

 今回、悟飯メインでスーパーヒーローなので、グレートサイヤマンが出てくるのだろうと思ったのですが、影も形もありませんでした。悟飯にピッコロの格好をさせることを優先させたのだと思いますが、何かしらの言及くらい欲しかったところです。パンにとってのスーパーヒーローが悟飯なのは間違いなったはずなのに。まぁグレートサイヤマンの話はアニメ版超で一回やっちゃってますけどね。

 実際のスーパーヒーローであるガンマ1号・2号のキャラは良かったです。映画終了後に中学生の男子たちが「ガンマのカード欲しい」って言ってたくらいには良かったです。しかし、2号の死が16号と同じように悟飯覚醒のキーになるのかと思ったらそうではなかったのでちょっとがっかりでした。ピッコロがやられたらそりゃキレるだろうけど、死んだように見せて結局生きて普通にまだ戦えたのでダメじゃんって思いました。死んだように見せて(特に理由もなく)死んでないって演出は萎えるのでワンピースだけにしてほしいです。実際にピッコロが死んだアニメ版超でも悟飯は覚醒できなかったのに…。

 

○悟飯とピッコロの役割分担

 今回、事態の収拾は全てピッコロがどうにかした感じだったのが、ちょっと微妙でした。展開的に他にキャラを出し辛かったとはいえ、潜入あたりはクリリンとか他のキャラも混ぜて掛け合わせた方が面白くなったのかなという気がしますし。

 戦闘も基本的にピッコロが指示して悟飯は従うだけで、パンをさらわれたことも含めて悟飯に能動性が全くなかったのも微妙でした。そもそもパンをさらわせて悟飯を戦わせようという発想が、セルと戦わせて覚醒させようとしたセルゲーム当時の悟空の考え方と大差なく、残念でした。「その作戦、ちゃんと悟飯と話し合ったのか?」と悟空に問い詰めたピッコロはどこへ行った。まぁメタ的に言うと鳥山明氏が、悟飯を活躍させるシチュエーションを作るのが苦手なんだとは思います。無理矢理戦わせないとそもそも戦わないキャラなんでしょうね、作者の中では。

 でももうちょっと悟飯が(とどめの一撃以外にも)事態の解決に関わってほしかったというのが正直なところ。ガンマとの和解もピッコロのおかげですし。せめてヒーローとしての姿勢を悟飯とガンマ1号(または2号)が語り合い、お互いに「お前が悪いヤツのはずがない」と認識して和解するような展開が欲しかったです。で、その分かり合ったガンマが命を落としてブチ切れる悟飯という展開だったら個人的には満点でした。最後に悟飯に魔貫光殺砲を使わせるためには、ピッコロとの絆を強調する必要があるということなのかもしれませんけどね…。

 

○新形態について

 ピッコロの新形態については先述の通りです。老界王神によるパワーアップだと思いたかったけど神龍の力ならまぁ神の力かなと思えますし、神の領域に達したと考えています。

 悟飯の方は、たぶん少年時代の超サイヤ人2の面影を出したかったんだと思いますが、髪型無視で中途半端に長くなるのはちょっと微妙ですね。超サイヤ人3で伸びるんだから理屈的にはどうでもいいんですが、見た目が微妙です。そして、「何故その姿なのか」「何故さらにパワーアップできたのか」の理屈がないのも激しく微妙ですね。アルティメット化で潜在能力を限界以上まで引き出しているので、もう引き出しはないはずですし、修行もしていないので何の上積みもないはずなんですが。

 悟飯は小さい頃からずっと本気出したら悟空より強いって言われ続けてましたが、悟空はずっと修行を続けているわけで、悟飯が大人になっても修行しないで悟空より強いというのはさすがに違和感があります。せめて一時期かなり修行したんだけど、また研究に没頭し始めたという説明があればまだ違ったんですが。まぁ力の大会前後で修行した可能性はありますが、作中では何も触れられていませんからね。

 悟飯の新形態の本質については、まだ設定が何も公開されていないので判断が難しいですが、見た目や気性から見てもゴッド系・身勝手の極意系でないことは明らかなので、どちらかと言うとブロリーのように、元々持ってるパワーが高すぎる系の解釈なのかなと思います。悟飯がブロリー並みに力を秘めているって言われたら、老界王神に全て引き出された後でなければ納得できたんですが…。とりあえず我儘の極意のような破壊神系のパワーアップなのかなと解釈しておきます。

 

 

 というわけで、概ね楽しめたのですが、悟飯とピッコロの活躍のバランスがちょっと悪かったのが不満だったなというのが総合的な感想です。

 あとは、どうしてもゲームキャラ追加のためにピッコロと悟飯の新形態を出したかったんだろうなというのが見え見えで、パワーアップの理屈付けが適当だったのが残念でした。実際、映画を見終わった後の中高生たちがカードの話ばかりしていたので、今のドラゴンボールのメイン商品ってカードなんだなぁとつくづく感じて、ビジネスとしては間違っていないんだろうなとは思いますが…。「神と神」を見終わった人たちが、超サイヤ人4とゴッドのどっちが強いか熱く語り合っていた時代との落差を感じたのでした。