どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

もし人造人間編をリメイクするなら

ドラゴンボールの人造人間編は、作者が当初メインの敵と考えたキャラが次々と変わっていき、それに伴う辻褄合わせが上手くいかずに粗の多いシナリオになってしまっています。

もし完全新作として人造人間編をリメイクするとすれば、どのような物語になると綺麗になるか、少し考えてみました。

 

まず、大前提として、「人造人間により壊滅した未来から来たトランクスにより、歴史が改変され、世界が救われる」「最後に悟空は死に、悟飯が敵を倒す」という物語の始点と終点は変えないとします。ここを変えたら別の作品になってしまいますし、以後のシナリオに続きませんからね。

 

そして敵は、最初からセルであるとします。何故かと言うと、超サイヤ人となった悟空たちより強い敵としては、他の人造人間より説得力があるからです。

バイオテクノロジーを駆使して生み出されたフリーザ以上の超生物がセルで、それにより未来は壊滅したという物語にします。

 

同時に、人造人間編が「敵のモブがいない」というのもできれば改善したいと思っています。このせいで、ゲームにする際など世界観の幅が狭くなってしまっているんですよね。

また、鳥山氏が「二人組の敵」を重用し、強そうに見える方が格下であるという原則をよく用いるので、セル自体が複数存在するというパターンでいきたいと思います。

 

つまり、敵はセル単体ではなく、セルと同様の技術で作られたバイオロイドの人造人間たちで、その目的はレッドリボン軍に代わる世界の征服か、そのための露払い(統治機構の壊滅)ですかね。「スーパーヒーロー」でレッドリボン軍が存続していたことが明らかになったので、彼らのための行動としても良いと思います。

特に強い個体がセルで、その相棒となるもう一人の人造人間が当初からいたとします。これは、人造人間20号に相当するドクター・ゲロ自身が変異した姿として良いと思います。ゼロから造ったバイオロイド(ナメック星人フリーザ親子など異形の生物を含む)と、既存の人間を改造して造った(仮面ライダー的な?)バイオロイド(地球人と似た生物であるサイヤ人の細胞のみ使用)がいるとすれば、18号も出すことができます(いないとクリリンが結婚できないので)。

 

トランクスが未来で戦っていた相手もセルです。未来ではセル以外の人造人間は倒されており、セルだけが手に負えなくなった状態が良いでしょう。

現代では各地で行動を開始した人造人間たちをZ戦士が分散して迎え撃つことに。悟空はセルと戦うも、心臓病が発病し勝てる相手に勝てないというのは原作の19号戦と同じ。この時点では、セルも超サイヤ人に勝るほどの強さではなく、現れたベジータには勝てない点は19号と同じ。ただ死ぬことはなく、ゲロと共に逃走します。

セルはここでゲロと決裂し、ゲロを吸収してパワーアップ。17号と18号を吸収して完全体になるのではなく、同種の人造人間はすべて吸収できることにしましょう。ナメック星人が同化するようなものですね。

パワーアップしたセルはベジータたちを圧倒。セルは十分強くなったとしてベジータたちにとどめを刺さず、悟空との再戦(瀕死から復活してパワーアップしていることを期待)を目指して移動を開始するところ、ピッコロが神様と融合してそれを阻止するも取り逃がすところは原作通り。その間に復活した悟空たちは精神と時の部屋で修行するのも同様です。

その後は割と原作通りでいける気がするんですが、ここで位置づけに困るのが18号の存在。クリリンが18号に情が移るも結局セルに吸収されてしまう、というくだりは残したいので、各地で戦う人造人間の一人が18号で、クリリンが戦う相手だったということにしましょうか。

セルは神と融合したピッコロに勝てないと悟り、撤退して仲間の人造人間たちを吸収してパワーアップすることを企み、まず原作通り17号を吸収してピッコロを倒し、次に修行を終えてパワーアップしたベジータに勝てないため18号を吸収、というのは原作と同じ流れです。以降も大体同じですね。

 

原作でセルが未来から来たように、トランクスの未来のセルもタイムスリップしてきて、現代のセルと融合してさらにパワーアップしてしまうという展開もなしではないのですが、それをやると未来に帰ったトランクスの無双が描けなくなるので悩ましいところです。いずれにせよセルがまた別の未来からくることで世界線がややこしくなるのは避けたいところですね。

 

シナリオ展開はそのくらいで良いとして、あと変更したいのはキャラクターの動機ですね。「セルがやっつける悪役としての説得力が薄い」「悟空が無理矢理悟飯の覚醒を促す不自然さ」「悟空の死やその後のセルの復活のご都合主義」あたりは直したいところです。

まずセルというキャラクターに関しては、インプットされているのが「悟空を抹殺し、その後社会を破壊すること」ということにしてみます。社会の破壊というのは、要するにレッドリボン軍が世界を征服できるよう、地球の統治機構を破壊して無政府状態にするということですね。トランクスの未来では悟空がすでに死んでいるため、この社会の破壊を実行している状態ということです。

悟飯の覚醒を促す悟空に関しては、もう少し切羽詰まった状況にしたいですね。余裕しゃくしゃくで当初から悟飯に勝たせる気満々の悟空ではなく、悟空が明確に悟飯を鍛え上げて悟空以上の実力を引き出したものの、それを思い通りにコントロールできないため、戦いの中でその力が自然と出てくることを期待して参戦させるも、「本当は戦いたくない」という気持ちがブロックになっていたために力を発揮できず、それが16号の言葉で引き出されるという展開ですかね。

悟空の死に関しては、セルのプログラムが悟空の抹殺優先であるが故に、悟飯に追い詰められても悟空を殺すことを優先し、悟空との自爆を試みた際に悟空が周囲を巻き込まないために瞬間移動してみんなを守るという展開ですかね。その後の再生に関しては、16号もバイオロイドだとして、その16号を吸収してパワーアップするというのが妥当でしょうか。16号は悟飯覚醒時に死亡しないといけませんが、バイオロイドなので再生能力がある、セルが保険として完全に殺していなかったなど考えようはあるかなと思います。

 

つまり人造人間編リメイクのアイデアの要点はこのようになります。

  • 敵はバイオロイドの人造人間複数、多くは人間と大差ない外見だがセルは特別異形の存在
  • セルは他の人造人間を吸収(同化)してパワーアップしていく
  • セルの目的は悟空の抹殺(悟空より強くなること)、その次に世界の壊滅

 

悟飯が最後にしかスポットライトが当たらないのもどうかと思うので、何か戦いたくなくなる要素を入れたいですね。例えば、セルとゲロ以外の人造人間は無理矢理改造された存在なので、実は話せば分かり合える(18号や16号ともそれで和解)ことを知り、戦い以外の解決方法を知るとかですね。

原作のこのキャラだと分かるように18号とか16号と言っていますが、これもセルのように別の名前を付けてもいいのかなと思います。そもそもモブの人造人間の呼び方も欲しいですね。ガンマみたいなやつ。

 

原作のセル編やブウ編は、タイマン勝負の方が少年漫画的に映えるので、一人の強力な敵に味方キャラが次々と戦いを挑むパターンばかりになってしまっていましたが、フリーザ編のように複数のキャラが複数の場所を移動する展開でも面白い話は作れるので、特にセルが完全体になるまではそういう話にできたら面白いんじゃないかと思います。