どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

悟空と競い合うベジータの足跡を辿る

もはやドラゴンボールどころか、全漫画の代表的なライバル関係と言っても過言ではない悟空とベジータですが、直接対決したのは2回だけ(初戦とバビディ洗脳時)しかありません。映画「スーパーヒーロー」での対決はお互い変身していない修行みたいなものですしね。

しかし、直接対決は少なくとも、2人は常に作中で交互にパワーアップを繰り返し、競争してきました。今回は主にベジータの視点でその経過を振り返ってみたいと思います。

 

(1)初戦(地球)

 地球のドラゴンボールを手に入れるためにナッパと共に地球にやってきたベジータ。その戦闘力はこの時点で18000。ピッコロの1330がMAXだった当時の地球の戦力など、多少パワーアップしたところでまず負けることはないと思っていたでしょう。悟空が復活して8000以上の戦闘力を得たとしても、その倍以上の戦闘力を隠しているとは微塵も思っていなかったと思います。更に大猿化で最大180000までパワーアップする余地がありますからね。ベジータとしては、強くてニューゲームで序盤の街に来たくらいの感覚だったはずです。

 しかし実際には、界王拳というチートでベジータを凌ぐ戦闘力を発揮してきた悟空。その反動でボロボロになったものの、絶対負けない楽なクエストだと思っていたところ致命傷を負わされたベジータのプライドはズタズタでした。しかも悟空だけなら大猿化で楽勝だったところ、ヤジロベーに尻尾を切られるわ元気玉を当てられるわ大猿悟飯に襲われるわ、悟空の仲間たちに煮湯を飲まされ、しかも殺されそうになったところを悟空の温情(?)に救われるという屈辱的な結末に終わりました。

 とはいえ、純粋な戦闘力での勝負はまだベジータの勝ち。悟空の界王拳も大猿化ほどの倍化がまだできなかったため、この時点ではまだベジータは「仲間の協力があったから負けただけでタイマンでは自分の方が上」と思っていたはずです。

 

(2)ナメック星

 本来のドラゴンボール入手という目的を果たすために、フリーザを追ってナメック星に向かったベジータ。地球での傷を癒したことでドドリア以上の戦闘力を獲得し、ザーボンには負けたものの治療を受けたためそのザーボンを上回る戦闘力を得ました。しかし悟空はナメック星に向かいながら何度も瀕死から回復を繰り返し、ギニュー特戦隊を圧倒する戦闘力と10倍界王拳に耐えれられる身体(つまりほぼノーリスクの大猿化)を得ていました。今思うとベジータよりも回復の回数が多いので強くなっているのは当たり前なのですが、ベジータ的には優っていた素のスペックで負けたことに強い危機感を覚えます。

 ベジータギニュー特戦隊との戦いからの回復と、クリリンに傷つけさせての回復でネイルと同化したピッコロ以上の戦闘力を獲得しますが、最終形態のフリーザにはまるで通じず、一方的に殺されてしまいました。悟空はギニュー戦後の一度の回復でベジータよりは善戦できましたが、フリーザの半分の力に10倍界王拳でまるで通じず、20倍界王拳でも痛みを感じさせるのが精一杯でした。フリーザに手も足も出なかったという意味では悟空もベジータも同じですが、決定的な差異が超サイヤ人化。ここからベジータの目標が「超サイヤ人になること」になります。

 

(3)人造人間編

 苦労の末、超サイヤ人になることに成功したベジータ。直接悟空と戦ってはいませんが、「本来の素養は自分の方が上だから、同じ超サイヤ人なら自分の方が強いはず」という自信で人造人間に挑みます。しかし勝つことができず、超サイヤ人を更に超えるための修行を開始。ここでは「どうやって超サイヤ人を超えるか」というアプローチでの勝負となり、「更に肉体を強化することでより大きな気に耐えられるようにする」というベジータに対し、「超サイヤ人状態に身体を慣らすことでより大きな気に耐えられるようにする」という悟空の方がより大きなパワーアップに成功しました。その後、同じアプローチで修行しなおしたであろうベジータは屈辱的だったでしょうね。

 しかし悟飯が更に上位の変身を行い、悟空当人は死亡してしまったことで、ベジータの目標は一旦失われ、トランクスを悟飯より強くすることが新たな目標になります。悟空が1日だけ戻ってくると知る日まで。

 

(4)ブウ編

 ベジータは一応超サイヤ人2への変身を実現していましたが、セル戦時の悟飯には及ばないと思っていたようで、あの世で修行していた悟空にも勝てる自信はなかったようです。しかし1日だけ帰ってきた悟空との勝負だけを楽しみにしていたベジータ界王神バビディ一味の争いに巻き込まれ、その状況を利用して悟空と戦うことを思い付きます。バビディにあえて洗脳されたベジータは悟空と互角の戦闘力を得て戦いを楽しみますが、それがブウを復活させてしまったため、責任を取るように自爆しました。

 その後生き返ったベジータですが、悟空が超サイヤ人3を隠していたことに怒りを覚える中、ブウと戦う悟空の姿を見て自分より何が優れているかを理解します。それが「勝つ」のではなく「負けない」ためのたゆまぬ努力。超サイヤ人2を知ったうえで、その更なる上を目指していた悟空は、目の前の敵に勝つためだけではなく、当時の悟飯やそれを上回るかもしれない未知の強敵が現れても負けないように修行していました。これまで「王子であるはずの自分の方が優れているはずなのに」と思っていたベジータは、そもそも鍛えるためのアプローチで悟空に負けていたことに気づき、素直に悟空が優れていたことを初めて認めたのでした。

 

(5)ウイスへの師事

 ビルスの登場で更なる上の領域があることを知った悟空とベジータ超サイヤ人ゴッドへの変身を経て、ビルスの師であるウイスの教えを得ることにします。ベジータにとってはこれが生まれて初めての「師匠」ですね。共に超サイヤ人ブルーへの変身を身につけ、互いに欠点を指摘された悟空とベジータは、それぞれの欠点解消を課題に修行を続けています。

 アニメや漫画での変身はとりあえず置いておいて、鳥山原作だけで考えると、当面の目標はジレンの領域への到達。無駄のない力の使い方を目指した結果、ベジータはついに変身なしの勝負で悟空に勝つことができました。この点で、ベジータは変身に頼らない勝負では悟空に少しリードしたことになります。

 

 このように、常に悟空をベンチマークの基準に置いて強くなってきたベジータは、ウイスという共通の師を得ることで悟空を上回ることに成功しました。自らの欠点を指摘され、その改善をするのも初めてだったでしょうし、悟空と共に競い合える環境になったのも初めてだったので、それまで独学続きだったベジータが初めて悟空と同じ土俵に立てたことになります。その意味では、今のところ「同じ条件なら悟空より強い」というベジータのプライドは回復できたのかもしれません。

 

 ところで、書いていて思ったのですが、悟空とベジータの初戦以降の「瀕死から回復した回数」ってどっちが多いんでしょうね。

 悟空はベジータ戦後の回復で1回、重力修行中に3回、ナメック星では1回回復しています。その後は、19号戦後の回復(仙豆食べた時は物理的なダメージは少なかったけど、その後エネルギーを吸収されて瀕死になってる)とセルジュニア戦後の回復くらいでしょうか。計7回です。ブウ編でのベジータ戦後の回復は瀕死というほどではない(傷ついてはいたが気絶していたのが主原因)のと、そもそも死人なのでカウントしなくてもいいかと思います。ブウへのトドメを指すときもドラゴンボールの力で回復していますが、瀕死ではないですね。「超」を含めると復活のF編で1回瀕死から回復しています。

 ベジータは悟空戦後の回復で1回、ザーボン戦・リクーム戦・フリーザ戦で各1回。その後18号戦、セル完全体戦で各1回ですね。ブウ編での悟空戦後の回復はやはり瀕死とは言えません。純粋ブウ戦では生き返った後瀕死になっているのでその後回復したとして1回でしょうか。トータルは7回で、実は悟空と同じです。そう考えると、「超」では悟空とあまり差がないように見えるのは妥当なのかもしれません。ベジータは「超」では瀕死から回復する描写がないので、復活のFの分だけ悟空の方が回数が多いですが、元々の戦闘力はベジータの方が上なのでそこでトントンということでしょうか。

 悟空とベジータの競い合いは界王拳、大猿、超サイヤ人化と割と変身効率の勝負になっていて、純粋な実力差は瀕死の回数でしか差がなかった可能性もあるのかもしれません(?)。