どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

ラディッツに伸び代はあったか

悟空の兄・ラディッツは、その弟が際限なく強くなっていき、その息子や父(後付け)もどんどん強くなっていることから、同じ血筋であるが故にもっと強くなれる可能性があったのではないか、と言われることが多いキャラクターです。そのため、ゲームオリジナル展開や二次創作などでは生存または復活してパワーアップする展開などもあったりしますが、実際のところどうだったのでしょうか。

 

ラディッツが惑星ベジータ滅亡を回避できたのは、映画「ブロリー」準拠ではベジータと一緒に他の星を攻めていたからでした。フリーザはあえてベジータ不在時に惑星ベジータを破壊しているので、そのベジータのおかげで生き延びたという意味ではラディッツは幸運だっただけとも言えます。

とはいえ、ラディッツカカロットのように赤ん坊の頃から星に送り込まれる対象では無かったようなので、少なくとも生まれた時の戦闘力がカカロットより高かったのは確かです。そういう意味では才能はある方だったのでしょう。

しかし、父バーダックが戦闘力10000近くまで伸びていた(旧アニメ設定)のに対し、ラディッツは戦闘力1330の魔貫光殺砲で貫かれるレベルなので、戦闘力は高く見積もっても大全集設定の1500以上はないと考えられることから、その実力はほとんど伸びていないと考えられます。

ベジータやナッパと比較しても、2人が鍛えていた尻尾を鍛えておらず、戦闘力もに大きく差をつけられ、「弱虫ラディッツ」と陰口を言われていました。どう考えても、誰が見ても、ラディッツ一人だけ明らかに格下です。

これらの事実から考えられるのは、「ラディッツは、死にかけた経験が圧倒的に足りていない」ということです。

バーダックがそうであったように、生まれが下級戦士であっても、何度も死にかけからの復活を繰り返せば、サイヤ人は強くなることができます。つまりラディッツの戦闘力が低いのは、サイヤ人特有の超回復が足りていないとしか考えられないのです。

ナッパやベジータから弱虫呼ばわりされていたのは、死にそうになるほどの強い相手との戦いを避けたり、死にそうになる前に撤退したりと、安全策ばかりをとって生きてきたからなのではないかと思われます。そのため、戦闘力を伸ばすことができていないのです。

それにしては、ラディッツは悟空やピッコロに対して尊大でした。地球人の農夫をゴミ呼ばわりしたことも含め、戦闘力が低い相手を見下しているのは間違いありません。しかし、戦闘力を基準におきながら、自分を上回るナッパやベジータに追い縋ろうという意志はあまり無かったようです。ラディッツの戦闘力はフリーザ軍の一般兵と同等(戦闘力3000のナメック星の若者に一蹴されるレベル)でしかないのですが、つまりはそのフリーザ軍一般兵の待遇で本人は十分だったのかもしれません。

 

これらのことから言えるのは、ラディッツフリーザにあごで使われ、ベジータとナッパと同じサイヤ人チームで組ませてもらえているという立場に特に不満を持っていないため、リスクを冒すような戦いを好まず、戦闘力を伸ばすことができていなかったということです。

これでは、まるで悟空とは逆ですね。どんなに強くなっても飽くなき向上心で修行を続ける悟空の兄弟とはとても思えません。仮に才能があったとしても、このメンタルでは強くなるのは難しいでしょう。はっきり言って伸び代はなく、早々に退場する以外ないキャラクターだったと思います。生き返ったところで、ヤムチャのような存在になるだけだったでしょう。

 

しかし、なぜラディッツはこのような性格になってしまったのでしょうか。バーダックという父から学ぶものはなかったのでしょうか。

赤ん坊の状態で一人で星に送り込む文化があるくらいですから、サイヤ人はそんなに家族と一緒に過ごさない種族なのではないかと考えられます。だからラディッツバーダックとほとんど接したことが無かったのでしょう。実際、「たった一人の最終決戦」ではラディッツはセリフの一言にも出てきません。生まれたばかりのカカロットのことは案じていたにもかかわらず、です。

このことから、ラディッツバーダックからは性格形成に必要な体験を何も受け継いでいないと考えられます。だとすると、ラディッツにあるのは「下級戦士」であるという事実だけです。

そうなると、ラディッツとその他の下級戦士サイヤ人を隔てるものは何もなく、本当にただの「下級戦士のサイヤ人」の一人としての育ち方をしたのだと考えるしかありませんん。そのリスク回避の姿勢や向上心の低さ、安定志向はまさに一般人のそれです。ラディッツは我々小市民の代表者に過ぎません。

悟飯がチチだけに育てられていれば、普通に学者になっていただけだと思われるのと同様に、ラディッツバーダックと関わりがなかったために、ただの下級戦士サイヤ人としての一生を送るだけだったということなのでしょう。悟空だって、強くなれたのはバーダックのおかげではなく、地球で出会った人々のおかげですからね。

 

そういう意味では、サイヤ人の小市民でしかないラディッツが、地球にやってきて農夫を虐殺しピッコロや悟空を子供扱いして楽しんでいるのは、弱い相手にばかり強気になるネットユーザーのようでもあります。どんなに優れた血筋にいても、どんなに優れた仲間がいても、自分自身が強くなろうとしなければ、ただの弱虫でモブキャラと同価値しかないのだと、我々に自省を教えてくれる存在が、ラディッツなのではないでしょうか。