どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

ビルスが老界王神を封印した理由

 老界王神をゼットソードに封印したのはビルスであると鳥山明氏自身が後から設定しましたが、そもそも何故封印してしまったのでしょうか。些細な言い争いからだったと言いますが、だとしても封印してしまうというのはやや酷すぎる気がします。

 もちろん、界王神を殺してしまうと自身も死んでしまうため、相手を無力化するためには封印するしかないのだと思いますが、ここから思い起こされたのが、ピッコロ大魔王と神様の関係です。シェン=神は、自殺をせずピッコロを倒す手段として、魔封波を使用しています。この場合はピッコロの方が絶対悪だったので、界王神と破壊神の関係とは異なりますが、自分の分身と相容れず、殺せないから封印するという解決手段をとったという意味では、ビルスの行動と神の行動は一緒です。

 ところで、老界王神は自身を封印した者を「やたら強くて悪い奴」と表現しました。ビルスは作中描写から決して悪い奴ではないのですが、界王神視点では「やたら悪い破壊神」であった可能性は十分あります。そもそも界王神と喧嘩して封印してしまうような破壊神は、同じ世界のバランスを保つために存在する神として出来が良いとは言えません。魔人ブウフリーザを放置していたことも含め、神としては優秀ではなかったと言えます。破壊神から神としての役割を取ったら、「やたら強くて悪い」だけの存在になってしまい、それが老界王神から見たビルスだったのでしょう。

 よく言われるのが老界王神の後のセリフ「今の魔人ブウほどではない」という表現で、ビルスはブウより遥かに強いので矛盾しているのではないかということですが、そもそも当時のビルスがブウより強くなかった可能性もあるのではないかと思います。なにしろ、7500万年も前の話ですからね。いくら寿命が長いとは言え、その頃からビルスが全く強くなっていないというのも違和感があります。ウイスの元で修行したという設定もありますからね。もちろん、破壊神である以上「破壊」の力はあるでしょうから、ブウを消滅させることは可能だったと思いますが。

 つまり老界王神にとってビルスは「やたら強いだけで神の役割を果たさない悪い破壊神」であり、「当時はブウほど強くもないし、ブウに比べれば凶悪な存在ではなかった」のではないかと思います。

 

 一方のビルスにとっては、そのように自分を悪く思っている老界王神が気に食わなかったのだと思いますが、封印するほどだったのでしょうか。まず、ビルス界王神を殺せませんので、実力で黙らせることはできません。しかも、老界王神は魔女とポタラで融合しているので多彩な術を使うことができます。これがビルスにとって小賢しかったこともあるでしょう。そして封印の決め手となった能力が老界王神の「限界以上に潜在能力を引き出す」力だったとして、それがビルスの脅威になるとすれば、おそらく老界王神の力でビルス以上の戦闘能力を持った戦士を生み出すことだったのかなと思います。どんなに強くてもビルスの破壊の力でどうにでもなりそうですが、そのような戦士を複数生み出されると話は変わってきます。

 つまり、老界王神ビルスにこう言った可能性があります。お前が破壊神としての役割をちゃんと果たさないなら、次世代の界王神候補たちの潜在能力を引き出して、破壊神以上の戦闘能力を与え、彼らに破壊神の役割を行わせる。お前にはもう頼らない、と。

 こう考えると、その後東西南北の界王神と大界王神がいた理由とも繋がります。破壊神との和解を諦め、界王神だけで世界の秩序を維持するために界王神の数を増やしたのです。しかし老界王神が封印されてしまったために、予定していた潜在能力を引き出す行為は行われず、残った界王神たちだけでは魔人ブウを倒すことはできなかったのでしょう。

 この間、ビルスウイスと共に修行し、ブウをはるかに超える力を身につけたことになるはずですが、それでもブウを倒す役割を果たさなかったのは、以前の考察の通りビビディやバビディに眠らされてしまったからなのだと思いたいところです。

 これらの考察が正しいとすれば、ビルスは老界王神の力を恐れ、ビビディやバビディの魔力に屈したことになるので、戦闘力は高いが搦手の術に弱い、脳筋タイプのキャラということになりますね…(笑)。案外悟空とは似たもの同士なのかもしれません。だからこそ、悟空と戦うことを楽しんでいたのでしょうか。ウイスが悟空やベジータを好んで鍛えているのも、性格的にかつてのビルスに通じる部分があるからなのかもしれません。もし悟空が破壊神になったとしても、その役割を律儀に果たしそうには見えませんしね。ベジータは王子なのでもう少し真面目にやるかもしれませんが。