どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

未来の悟飯は何故カッコいいのか

 いつの間にか、多くの人気を獲得している未来の悟飯。当時は、結局人造人間になす術もなかったキャラということでそんなにクローズアップされていなかったと思うのですが、現代の悟飯がどんどんカッコ悪くなっていったせいか相対的に人気が上がってきたように思います。

 

 ただ、人気があるのはそれだけではないと思います。一番大きいのは、やはり未来の「トランクスの師匠」という存在感でしょう。かつてのピッコロと同じ立場でトランクスを鍛え、それでも一人で人造人間に立ち向かうことを選び、散っていくしかなかった悲劇の存在。その背景に加え、現代の悟飯にはない戦意の高さと先輩としての存在感が魅力を高めていると言えます。

 

 特に、現代の悟飯との差は戦意の高さでしょう。他に頼れる者が誰もいなくなり、自分が戦い、後進を育てるしかないという状況に置かれたことによる、アルティメット悟飯とは違う甘さの消え方をしている点が、他にない唯一の魅力なのではないかと思います。

 しかし、肝心の強さに恵まれなかったのが残念ですね。未来の悟飯がアルティメット化していたら、より強い存在になれていた気がします(一部ゲームでは実現可能なようですね)。

 

 また、「トランクスの兄貴分」という存在感も魅力の一つですね。現代の悟飯も悟天の兄でトランクスの兄貴分でもあるはずなのに、その点が全然描かれなかったのはもったいなかったかもしれません。ブウ戦で悟飯が現れた時の悟天の喜び方は、2人の兄弟の絆の深さを教えてくれる唯一と言っていいエピソードです。「超」では結婚し子供が生まれたことで、父親としてのポジションが強調されがちですが、兄弟の絆というのももう少し描いてほしいところです。そもそも「復活のF」以降、悟天とトランクスの活躍の場が非常に少ない(鳥山氏的にはいなかったことにしたい?)というのも残念です。

 

 未来世界におけるトランクスと悟飯の関係は、ピッコロと悟飯のような師弟関係でもありますが、距離感的には(ナメック星にいた頃の)クリリンと悟飯のような関係にも近いと言えます。おそらく、悟飯はそれまでの経験をフル動員して、悟空、ピッコロ、クリリンから学んだことをトランクスに継承していたのだと思います。そういうトランクスとの悲劇的な背景を元に支えられている関係性もまた、人気の要因なのでしょうね。

 もしかしたら、人造人間から10年間生き延びることができたのも、クリリンと共にナメック星を生き抜いた経験からなのかもしれません。「勝てない敵からはとりあえず逃げる」という戦い方は、ピッコロや悟空からは学べていないはずです。そのクリリンが殺されてしまったのも不思議なのですが、不意打ちに近い状況でやられたか、逃げられない状況で戦ったのかもしれません。

 

 こうして考えると、未来の悟飯は「唯一生き残ったZ戦士」であり、すべての希望を背負っていながらも、むしろ決して「強くない」というところに魅力があるのかもしれません。これが現代の悟飯のように超サイヤ人2に目覚め、人造人間を倒してしまったらそれで物語は終わってしまうわけで、強くないからこそトランクスに全てを託し、そのトランクスが物語を動かしていくという関係性だからこそ、人気があるのかなと思います。そしてそれは当然、現代の悟飯と比べてIFの存在だからこそですね。

 だからこそ、そんなトランクスが背負うものをぞんざいに扱った「超」の未来トランクス編はダメだったんですよね…。