人造人間・セル編は、ベジータの息子・トランクスが未来から歴史を変えにやってくるところから物語が始まります。その割に、その後の物語ではトランクスが活躍することはほとんどありませんでした。
最後こそ未来の人造人間とセルを倒してカッコよく終わりますが、人造人間との戦いが始まった後の再登場時では逆上して突っ込んで17号に瞬殺され、セル戦では過信による無能を晒し、セルゲーム時には地球のドラゴンボールで唯一生き返れるという立場から犬死に役を引き受けるなど、はっきり言って不遇と言った方が正しいくらいの扱いでした。
もっとも、トランクスに関しては、父ベジータへの疑惑から和解に至る流れが丁寧に描写されているので、人間ドラマ的には恵まれた方ではあります。むしろセル編の最後に主役になった悟飯の方が、それまでほとんど出番らしい出番がなく、急にスポットライトを浴びせられた感が強かったように思います。
セル編の物語をずっと動かしていたのはベジータの方で、最後に悟飯にトドメの瞬間を提供したのもベジータだったことを考えると、裏の主役はベジータだったと言っても差し支えないのですが、本来の話の筋としては、ベジータよりも悟飯やトランクスが目立っていた方が綺麗な物語だったように思います。
というわけで、もっとセル編で悟飯とトランクスが目立つシナリオになるにはどうすれば良いか、少し考えてみました。
逆算として、結末から考えていきたいと思います。最後の悟飯のアシストがベジータではなくトランクスだったら、未来では叶わなかった悟飯とトランクスの力で世界を救うという展開になり、綺麗な締め方になるように思います。
そのために思いつくのは、トランクスが殺されてベジータがブチ切れて返り討ちにされて悟飯が庇うのではなく、トランクスが殺されそうになった段階で、悟飯がそれを庇って負傷するという展開です。この展開だと、トランクスにとっては悟飯がまたも片腕を失ってしまうというトラウマが呼び起こされ、自らの不甲斐なさによる怒りで超サイヤ人2に覚醒できる可能性があります。負傷した悟飯の代わりにトランクスがセルと戦うも、セルのパワーアップの方が上回っており、次第に劣勢になることでしょう。トランクスのピンチにベジータが助けに入れば、ベジータとトランクスの和解にも繋げられます。その隙に悟飯が悟空の励ましにより全力のかめはめ波を放ち、勝利するという展開ですね。最後の隙を作る役割はトランクスの方がそれっぽいですが、その役割くらいはベジータにあげてもいいかもしれません。そうすれば、未来では悟飯とトランクスだけでは世界を救えなかったけど、現代では悟空とベジータのアシストがあったから勝てたんだよという物語にすることができます。
結末はこれで良いとして、あとは中盤の展開ですね。ムキンクスのエピソードは、あの時点でセルに勝ててはいけないので、ベジータを超える力を手に入れたけどベジータに気を遣って隠していた、という展開で負けさせるにはあれしかなかったのかもしれませんが、ちょっと情けないですよね。自信満々で完全体のセルに挑んで返り討ちにされるベジータ共々ダサいだけなので、もう少しかっこいい物語にしたいところです。
とはいえ修行したベジータが17号を吸収したセルを圧倒できた方が物語としては面白いことは確かなので、期待はずれに終わったセルを完全体にしたいベジータと、したくないトランクスがガチで戦う展開にした方がバトル的には燃えるのかなと思います。それで消耗しているうちにセルが完全体になってしまい、パワーがダウンした状態で2人とも敗れる、という感じでしょうか。セル的にはベジータは恩人になるので、殺さないでやるからもう一度万全の状態の時に戦おう、という感じで一旦仕切り直しになる展開でセルゲームに続く、と。
次は18号とベジータが戦う時の話ですね。ベジータがピンチに陥って、トランクスが思わず父さんと叫んで助けに入ってしまうというのは展開として良いのですが、そこで瞬殺されてしまうのはカッコ悪いです。ピッコロや天津飯が瞬殺されるのは分かるのですが、一応超サイヤ人ですからね。17号に立ち塞がられて、1対1で戦う時間があっても良かったはずです。ベジータよりも技が劣ると指摘されて敗れるという展開になるとベジータの立場が少しはよくなるんじゃないかと思います。
このシチュエーション時は、ベジータと18号の一騎打ちを誰も邪魔しないという約束で、邪魔をしたら17号も参戦するというルールで戦っていたので、トランクスが乱入したら17号に攻撃されるのは当然です。しかしピッコロと天津飯が更に加勢したのはちょっと冷静さを欠いていたと言わざるを得ず、ベジータがタイマンで18号に勝てなかったんだから17号含めた2体にピッコロと天津飯が勝ち目がないのは明らかで、隙をついてベジータとトランクスを連れて逃げるしかない状況でした。最悪、天津飯かクリリンが太陽拳すれば逃げられたと思うので、やぶれかぶれで戦って負けるくらいなら逃げるしかなかったんじゃないかと思います。16号だけは気の探知ができるので、太陽拳を食らっても追撃できた可能性がありますが、16号なら「悟空だけが目的なら俺たちは見逃してくれ」と言えば見逃してくれそうです。なんなら、その交渉を悟飯がやればセルゲームの伏線にすることもできますね。そのためにはドクターゲロの研究所を探しに行く前にブルマを逃す役割だった悟飯を戦いに参加させた方が良さそうです。しかし流れ的に悟空の家に状況を伝えに行くための離脱なので、自宅を知っている悟飯が離脱するのは理にかなっています。そもそもブルマが戦場に残っていたのは20号がドクター・ゲロであることを明らかにするためなので、この辺の展開を変えれば良い気がします。
そこで出てくるのが、トランクスが未来の人造人間を「19号・20号」と言い切っているのに、後から未来の人造人間は実は17号と18号だったことになったという矛盾です。リメイクするなら、最初から未来の人造人間は17号と18号ということにして良いと思うので、最初から17号・18号が登場する展開でも良かったのではないかと思います。悟空は心臓病発症で離脱するとして、代わりに現れたベジータと18号が戦おうとしたところで、暴走した17号・18号を止めるために19号・20号が現れ、三つ巴の展開になるとした方が、なぜ人造人間が急に破壊活動を始めたのかの説明にもなります。20号が停止コントローラーで17号と18号を止め、19号に時間稼ぎをさせて研究所に帰るという展開の方が現実的です。この段階で、ブルマが20号=ドクター・ゲロであると気づかせておけば、悟空と一緒にブルマを連れて帰っても良くなるので、ヤムチャに任せることができます。
このような展開にすることで、悟飯が17号・18号との戦いに参加でき、16号と会話する機会を作ることができます。
まとめると以下のような流れです。
・1番最初に戦うのは17号と18号(ヤムチャは当然のようにやられる)
・悟空が最初に戦う(相手は17号かな?)が、心臓病発症により戦闘不能
・ベジータが助けに入るも、そこに19号と20号も現れる
・20号が17号と18号を停止させて研究所に連れ帰る(この時ブルマが来る)
・トランクスが合流。ブルマと悟空はヤムチャが連れ帰る
・研究所を発見。17号と18号を再起動するも、原作通り20号が破壊される
・原作通り16号が起動され、ベジータと18号が戦う
・ベジータの危機にトランクスが飛び出すが、17号と交戦する
・ベジータとトランクスが共に倒され、クリリンと天津飯の太陽拳で逃走
・パワーレーダーを持つ16号が追いかけてくるが、悟飯と交渉し見逃してもらう
・以後、原作通り進行。精神と時の部屋で修行したベジータがセルと戦う
・セルを完全体にしようとするベジータとトランクスが本気で対決する
・戦っている間にセルが完全体になり、ベジータもトランクスも敗れる
・以後、原作通り進行。セルが自爆し悟空が死亡。
・復活したセルの攻撃からトランクスを庇って悟飯が片腕を負傷。
・トランクスがデジャヴにより超サイヤ人2に覚醒。しかしセルに及ばない。
・悟飯がかめはめ波を放ち、ベジータのアシストで原作通りセルは消滅
こんな流れだと、より納得感のある物語になるのではないでしょうか。
とはいえ、その後のドラゴンボールの物語を考えると、一貫して悟空とベジータの物語であった方が統一感がある気もするので、悟空とベジータでセルを倒すパターンも今後想像してみたいと思います。その場合はブウ編まで通して考えたほうがいいかもしれませんね。