どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

べジータは何故ブウへのとどめに元気玉を提案したのか

 魔人ブウへの決め手として、元気玉を提案したのはべジータでした。これって当時から結構疑問に思った人が多かったんじゃないかと思います。べジータは確かに元気玉を受けたことがありますが、技の名前も原理もちゃんと知らなかったはずです。その後地球に居つく経緯の中で知ったということは十分考えられますが、元気玉のことをちゃんと知っているのは悟空以外では悟飯とクリリンだけであり、この2人とべジータがあまり絡んでいたとは思えないので、微妙なところです。

 そもそも魔人ブウに使った元気玉は「地球人の元気を根こそぎもらう」という界王様が教えた技のもう一段階上の技で、そんな元気の集め方ができることは物語上全く説明がありませんでした。それをあたかもべジータが当たり前のように知っていたのは、ご都合主義以外の何者でもないでしょう。占いババから一日だけ生き返らせてもらった際に界王様から教えられた可能性も、その界王様のリアクションから考えにくいものもあります。

 ここは単なるご都合主義で済ませたいところですが、べジータは地球で悟空たちと戦っただけで、気のコントロールを習得した天才です。このブログでの考察では界王拳すら習得していた可能性があることにも触れています。そうであれば、元気玉がどんな技であるかもある程度理解していたのかもしれません。その上で、そういう技の原理なのであれば、元気を分け与える側が意図的に気を全部明け渡せば、もっと強い技になるということも察知できていたのかもしれません。かなり好意的な解釈ですが。

 

 今回の考察の本筋はそこではありません。べジータが何故「元気玉なら魔人ブウを倒せる」と思ったかです。この伏線は、べジータが一度魔人ブウに対して自爆したことにあります。

 べジータは自爆する前に、「きさまのかたづけかたがわかったぜ…やっとな」と言っています。「やっとな」という言葉があるのは、それまでにブウへの攻撃方法を試行錯誤しているからです。肉弾戦で痛めつけたり、気で身体を貫いたりしてみましたが、そのどれもがダメージを与えることが出来ておらず、べジータは戦いながらブウへダメージを与える方法を模索していたと考えられます。べジータは悟空を気絶させてまで一人でブウを倒すと決めており、後に引くことは考えていません。魔人ブウだけは絶対に自分で倒すと決めた以上、その倒し方を考えなければなりませんでした。

 おそらくブウの戦闘力自体は超サイヤ人2のべジータと比べて圧倒的に高いわけではなく、超サイヤ人3の悟空なら倒せていたと言っていたあたり、2でも頑張れば勝てないレベルではなかったのだと思われます。ただダメージが全く通らないため、ずっと戦っていても勝つことが出来ないというのが魔人ブウのやっかいな点でした。

 そしてべジータは色々試してみた上で、跡形もなく消し飛ばす以外に確実に倒す方法がないと理解します。そのためには、自分の持つエネルギー全てをぶつける以外に手段はない、というのがべジータの結論だったのでしょう。それは、命を燃やす以外に、自分の手持ちの技でブウにダメージを与えられるものがなかったということになります。

 しかし、本当は一つだけブウを倒せる技があることに気づいていたんです。それが、元気玉。自分の気だけで勝てないのであれば、他人の気も使うしかない。そこらじゅうの生物の気を全て集めて一つの武器にできるのが元気玉です。これなら魔人ブウを消せるだけのエネルギーも集められるはずだと考えられます。しかしべジータには元気玉は使えませんでした。使うには清く正しい心が必要だからです。ただでさえバビディの支配を受けた状態のべジータには、絶対に使えない技です。そのため自爆するしかなかったのですが、その後生き返り悟空と合流した状態であれば、悟空に元気玉を使わせれば勝てると思ったのでしょう。

 生き返った悟飯やゴテンクスを戦わせれば、戦闘力上は純粋に戻ったブウを上回ることは可能でした。しかし悟飯やゴテンクスがブウを完全に消す攻撃ができるかどうかはわからず、もしまた吸収されてしまったらもう勝てるかどうかわかりません。ブウは自分が勝てないと理解した、より強い相手を吸収する傾向にあるので、戦闘力の高い者を戦わせるより、瞬間的に強力な技で倒すほうが確実とも考えたはずです。そんなことまで考えられるのは、まぁ当時のメンバーの中ではべジータだけですね。あとはデンデかサタンか2人の界王神ですから。

 

 つまり、一度「ブウを倒すにはどうすればいいか」を真剣に考えたのがべジータだけだったので、元気玉の提案もべジータにしかできなかったんだということです。

 ちなみに悟空は何故元気玉を思いつかなかったかというと、基本的に悟空は元気玉という技があまり好きではなかったからなのかなと思います。というのも、元気玉というのは他人の力を借りて敵を攻撃する技なので、自分ひとりの力で戦いたい悟空にとっては邪道な技なんです。しかも威力が高すぎることから、確実に相手を殺す覚悟がなければ使えないので、なるべく相手を殺したくない悟空には本当に最後の手段でしかないのです。そもそも特大の元気玉でもフリーザを倒せなかったので、フリーザより強い相手には通用しない技という認識も持っていたはずです(というか、当時の読者もみんなそう思っていた)。

 元気玉という技の特性を理解し、別の使い方まで推察できたのが、技を編み出した界王様でもなく使い手である悟空でもない、受けたことのあるべジータだけだったというのが、ある意味ではべジータのセンスの高さを象徴しているのではないでしょうか。