どらごんぼーる考察

がんだまぁBlogからドラゴンボール記事を移植しました。以後ドラゴンボール考察はここで展開します。

人造人間は何故フリーザよりも強いのか

 地球人の科学者が作った人造人間が、宇宙最強生物の一つであるフリーザに勝る力を持っているというのは、連載当時から理解し難い設定の一つでした。この理由を少し考察してみたいと思います。

 

 個人的には、地球にやってきたメカフリーザの構造を研究して作ったというのが一番現実的かなと思いたいのですが、メカフリーザはトランクスが粉々に消し去ってしまったためそれはあり得ないんですよね。

 そこで一つヒントになったのが、最近の鳥山明氏による17号/18号の設定解説です。この2体は人間ベースの人造人間なわけですが、バイオタイプと呼ばれる有機物ベースの人造人間で、それ故にセルの吸収対象になったということが判明しました。同じ人間ベースの20号が、腕や首がもげた時に断面が機械だったため、17号や18号も中身は機械なんじゃないかというイメージがありましたが、そういうわけではないようです。そういう意味では、17号と18号は人造人間というより、強化人間と言った方が近いのかもしれません。

 では、一体どのようにして17号と18号は元は普通の地球人でありながらフリーザ以上の力を得たのか?ということになりますが、そこでヒントになるのがセルの設定です。セルは、様々な達人の細胞を元にして作られた存在ですが、このセルのために摂取した細胞を、生きている人間に注入したのが17号と18号なのではないか?と思い当たりました。ゼロから(胎児段階から)生み出された先天的人造人間がセルだとすれば、生身の人間から生み出された後天的人造人間が17号と18号だということです。

  とはいえ17号と18号はピッコロの再生能力やフリーザの変身能力などは持っていませんから、外見的にもベースになっているのはほぼ(人間に近い)サイヤ人の細胞なんじゃないかと思ったりします。悟空をスパイロボットで監視していたのならサイヤ人と地球人なら子供が作れることは知っているはずですから、それを研究して成体の人間にも応用できるよう研究していた、などと考えることができます。

 このように考えると、17号と18号は、フリーザ以上に強いと言われても納得できるのではないでしょうか。地球人にサイヤ人の遺伝子が組み合わさると、普通のサイヤ人以上の潜在能力を持っていることが悟飯らによって明らかになっているわけで、人造人間は人為的な改造を施しているのでそれ以上ということになるわけです。フリーザがちょっと修行すれば超サイヤ人ブルークラスの戦闘力を得られるのですから、それより強い17号がちょっと修行すればブルークラスになれるのでしょう(笑)。

 

 もしかしたら、セルが17号と18号の吸収が必要だったのは、昆虫の延長のような生物が進化するために「人間」としての完成データが必要だったのかもしれませんね。それも2体必要だったのは、男と女、雄と雌というデータが必要だったのかもしれません。ほぼ同じ遺伝子をもつ双子の男女というのが、最も適した存在だったということでしょうか。

 

 とはいえ、その17号と18号以上の力を持つ16号を完全機械の身体で作れてしまうのは、やはり理解のレベルを超えています。ロボットとしてはこれが完成形で、それ以後は「成長する人造人間」として17号や18号、セルを作り出したとも考えられますね。19号と20号もエネルギー吸収によって戦闘力を成長させることができますし。最初からフリーザより強いのではなく、成長することでフリーザ以上の力を得るに至った、という方が納得がいくので、元々そういう方向で原作も考えていたのだと思いますが(セルも最初はピッコロより弱かった)、上手く物語の中で落とし込めなかったのかなという気はします。

 そもそも16号~18号が搭載する「永久エネルギー炉」が非常にヤバいシステムですよね。人間サイズの個体に永久機関搭載という時点で技術レベルが半端ないような気がします。これを開発できたことによって、強力な人造人間を作れるようになったと言っても過言ではないのかもしれません。エネルギーが無限に湧き上がるなら、それをずっと制御できればどんどん大きなパワーを生み出すことができそうですし。

 ただセルのエネルギーは無限ではなかったようなので、17号と18号を吸収しても永久エネルギー炉は作動しておらず、吸収の目的もエネルギー炉を取り込むことではなかったように感じます。少なくともセル、17号、18号の強さの源泉は、永久エネルギー炉よりもその生物的構造の方にあるんじゃないかと思ったりします。16号は永久エネルギー炉の力をフルに生かした構造で、それ故に強大すぎる力を持っていたのかもしれません。そのためエネルギー炉だけに頼る構造は危険だと感じて、有機物ベースの人造人間に切り替えたというところでしょうか。しかし人間をベースにすると当人の人格が反乱を起こすという欠点に気づき、エネルギー吸収式のロボットタイプに落ち着いたというのがドクターゲロの研究の成果なんでしょうね。最後に自分を19号と同じタイプに改造したのは、17号・18号はセルの餌として作っただけだったからなのかもしれません。

 

 というわけで、何故人造人間がフリーザより強いのかというと、16号は永久エネルギー炉の恩恵、17号と18号はセルの素材としてセルに近い有機改造(主にサイヤ人の細胞)が施されているから、という答えが出るんじゃないかなと思います。

 というかセル以外の人造人間は気がないのにエネルギー弾を撃てたりする不思議な構造なんですが、あれは気以外の別のエネルギーで、それは感知できないということなんでしょうね。そういう意味では、永久エネルギー炉含む人造人間のエネルギー源にこそ秘密があるような気はします。フリーザなどの宇宙人や魔人ブウも「気」という概念では地球人と同じだったわけですから、どういう種類のエネルギーかは気になるところですね。そしてそれを何故ドクター・ゲロが開発できたのかも含めて、ドラゴンボール世界の中でもトップクラスの「謎」のような気がします。まさか神の気じゃないでしょうしね。